My Precious Life

猫とロカボと筋トレと。たまにスピリチュアル、ヨガや美容について。

天国に旅立ったネコと死者の声 vol.4

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ありがとうございます―――。

 

聞き覚えのない女性の声。気配はない。声だけが突然、右耳から脳内に流れてくる。ハッキリとクリアに。その後に続く長いメッセージもクリアに。

 

***

私は気付いた。

魂はその肉体から離れて時間がたてばたつほど波動が高くなってメッセージが聞きとりにくくなるのではないだろうか。過去に受け取った「祈りなさい」というメッセージは、今回のそれとは違い、とても小さく、ささやくような声だった。 

***

 

白いサテンの布で包まれた骨壺は、マツモトヒトシさんの手作りだという水色のシュシュで飾られている。 火葬は終わったのだ。

愛猫はたった1時間ほどで空へと帰っていった。その日はとても暖かく、青空が美しい穏やかな日だった。この数日前は都内も寒波に見舞われ大雪で大変な寒さだったのに。

 

(レオさんのやつ、きっとこの日を選んで旅立っていったな)

 

そんなことを思いながら、ぼんやりと骨壺を眺めていた。生前の写真を周りに飾り、食いしん坊だからご飯とお水も用意しなきゃ……なんて考えていた時、後ろのほうでカサっと音がした。

 

(ん?なんの音……?)

 

振り返って音がしたほうに近づくと、キッチンカウンターの上に無造作に置いてあった相田みつをの「ありがとう」というカードが床に落ちていた。え?これは?思わずカードを拾いあげて凝視したとき、右耳から「あいがと」という、なんていうか、アニメのキャラクターのような、漫画みたいな声が耳に飛び込んできた。えぇ?!と思って、無意識的に骨壺のほうを見ると、カメラ目線のレオさんの写真とばっちり目が合った。

 

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(今のはレオさん?レオさんなの……?)

 

その瞬間に涙腺崩壊、「こちらこそだよ~、こちらこそレオさんありがとう~」と祭壇に駆け寄って骨壺を抱きしめ、それこそオイオイと声を出して泣いた。いいの、何とでも言って。あのアニメ声はレオさんが私に伝えようと必死に絞り出した声に違いない、私はそう確信している。

 

涙というのは果てしなく流れるものなんだな。止めようと思って止められるものではないんだな。別にいいんだ、泣きたければ泣けばいい。明日仕事だけど。別にいいんだ。

 

どのくらい泣いたんだろう。泣きつかれてぼんやりしていたら、例の声が右耳からスーッと入ってきた。ありがとうございます―――。女性の声だった。私はてっきり再びレオさんが話しかけてきたのかと思ったが、さっきの「あいがと」とは全然違う声だったし、それにレオさんが「ございます」なんて、そんなこと言うキャラじゃない。なんだろう?と思いを巡らせていたら、もうすっかり忘れていた前の飼い主さんのことをふと思い出した。あ、そうだ!きっとあの人だ!気付くのに少々時間を要してしまった。

 

そして、その声が前の飼い主さんだと気付いたとき、もうすでにこの世にはいないことも同時に悟ってしまった。うん、病気で入院するって言ってたもんな……。あれから丸5年経ってるしな……。

 

お会いしたこともないその女性は、きっとずーっとレオさんのことを気にかけて、私たちを見守っていてくれたのだろう。それを思うと本当に感謝しかない。愛されていたんだね、レオさん。良かったね。キライになって捨てられたわけじゃないんだよ。私だって、前の飼い主さんに負けないくらいレオさんのこと大好きだけどね。

 

レオさんが天国に旅立ったその日、私のところにやってきて初めてお話しすることができたのだが、その内容が深くて本当に考えさせられてしまった。すごくしっかりした方だったな。なんていうか、学校の先生みたい。私のことは終始「あなた様」、いやいや私、そんな風に呼ばれたことないんで緊張しますわ、と言ったら笑ってた。